岩手の林業
藩政時代には、藩が管理する御山と、村や個人が管理する林野があり、これらの整理が行われた明治前期が岩手県林政の黎明期である。当時から県北では漆の生産が盛んで、県による椎茸栽培の奨励や炭焼きの巡回指導なども行われた。県産の南部桐や南部赤松は東京で好評を博したという。昭和24(1949)年に国県共同の林業普及指導事業が発足して以降は、林業に関する試験研究の推進や森林の保続培養にも力が入れられてきた。平成29(2017)年からは「いわて林業アカデミー」が開講し毎年15名以上の林業の担い手を輩出している。
昭和49(1974)年に松尾村(現:八幡平市)で「第25回全国植樹祭」が開催されて約50年。令和5(2023)年には陸前高田市にて「第73回全国植樹祭」を開催。
岩手の水産業
明治期の岩手では採介藻漁業や沿岸での漁が主で、マグロ、サケ、イカ、コンブ、ワカメなど多種にわたる水産物を生産していた。明治43(1910)年、水産振興を目的として県立水産学校内に岩手県水産試験場を設置。以来、遠洋漁業試験やカキ、ホタテなどの養殖の試験などが行われている。大正期には漁船の動力化により沖合漁業が隆盛となり、遠洋漁業が発展期を迎えた。戦後になり戦時中に敷かれた漁業の統制が解除されると、昭和24(1949)年に県水産部が設置され、県民への水産物の安定供給や漁業取締りがなされるようになった。現在は、東日本大震災津波で甚大な被害を受けた施設や設備等も概ね回復し、三陸の恵まれた漁業環境を生かした「つくり育てる漁業」を推進、水産資源の増大を図っている。